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23 愛の仮面をつけた犠牲

私の友人の話ですが、アラフィフで4人のお子さんがいます。そのうち2人は障害を持っているお子さんです。さらに彼女は建築士として活躍されています。キャリアウーマンとしてバリバリ働いています。勉強熱心なので、休みの日は様々なセミナーに参加しています。旅行や遊びが大好きでおまけにグルメなので、しょっちゅう友人たちと出かけています。

彼女のようにたくさんの子供を抱えていて、家族の面倒を見なければならない人はたくさんいます。その多くは家族から目が離せないからと、自分の時間をすべて捧げようとします。他にも、会社の上司を助けようと休日返上で働いたり、両親を喜ばせるために遊ぶのを我慢して勉強したり。これらはすべて愛の仮面をかぶった犠牲です。

私たちは犠牲と愛を混同しやすいのですが、犠牲は偽物の愛です。犠牲を自分に強いる人は与えるだけで受け取ろうとしません。本当は「与える」と「受け取る」は対で必ず起こるため、本当の意味では「与えて」いないとも言えます。

きちんと「受け取る」ことをすれば、新しいレベルの「与える」行為が生まれます。冒頭に書いた私の友達ですが、旅行に行ったり美味しいものを見つけてきては、この体験をどうやったら家族みんなで楽しめるかを常に考えています。そしてその方法を探してきては実行に移すのです。いろんなセミナーで交友関係を深めては、障害を持つ子供の役に立つビジネスのヒントを得ています。家族の犠牲になって自分の時間を捧げるのではなく、自らやりたいことをやって、それを家族に還元しているのです。

犠牲的行動に走るのは、自分に価値を置いていないからです。自らの願望やお金や時間を放棄し、何かの「犠牲」になるしか自分には価値がないと思っているのです。
犠牲になることは自分を罰する一つの形なので、罪悪感を償う手段に感じられます。
しかしそれは、誰かに自分の人生を進めてもらおうと自らの価値を放棄しているにすぎません。

ここで注意が必要なのですが、犠牲と貢献は違うということです。貢献は愛です。
ある熟年再婚した男性の言葉ですが、「彼女が飲み食いが好きの旅行好きで本当に良かったよ。僕は美味しい料理を作ったり外でグルメを楽しむのが大好きだし、旅行もプロ顔負けの綿密なプランを作ることができるんだよね。」と。
彼は自分がグルメで旅行好きで、そのお膳立ても全部やりたいタイプ。そして女性に自分が作ったプランを思いっきり謳歌して欲しい人なんです。ここに犠牲の精神はありません。彼は自分が楽しめることを一緒に楽しみ喜んでくれる奥さんに感謝しているのです。誰かのために自分の時間を犠牲的に捧げているわけではないんですね。これが与えて、受け取る、ということです。

犠牲的な関係は決してうまくいきません。カップルにしろ、友人関係にしろ仕事関係にしろ。
犠牲は関係を泥沼化してしまう行為です。

特に付き合い始めのカップルは(最初はロマンスの時期なので犠牲的精神に気がつかずに)自分の長所や得意分野で相手を喜ばせようとするでしょう。そしてだんだんと疲弊していき、ついに与えられるものは「苦しみ」だけになっていきます。本当は苦しい懐事情、会う時間を捻出するのが難しい、美しく素晴らしいプロポーションを保つのが苦しい、など人によって様々です。苦しみを相手に見せられなくて関係が終わってしまうカップルがなんと多いことでしょう。

素直なコミュニケーションは、泥沼化したすべての関係を前に進めてくれます。関係が倦怠化してきたなと思ったら、次のステップに進むのです。みっともないこと、辛いこと、格好悪いこと、隠しておきたいことを相手に伝えましょう。
そうすれば犠牲的な関係は、貢献的な関係に変わり、より深いパートナーシップへと発展するでしょう。これは仕事(時に弱みを告白することで信頼を得てクライアントとの絆が深まるものです)でも、友人関係でも家族関係でも同じことです。

<項目>
1 心の秘密

2 あなたの価値
3 人生の目的
4 あなたが手にしているもの
5 前進
6 扉を開く
7 許す
8 感情を感じる
9 真実が自由をくれる
10 過去を手放す
11 受け入れる
12 ネガティブ感情は全て幻想
13 空想の人生を生きていませんか?
14 「傷つく」とはどういうことか
15 信頼
16 人生を実現する
17 心の姿勢が方向を決める
18 家族の解放
19 役割と義務感
20 家庭内の役割
21 コミットメント
22 権力争いを癒す
23 愛の仮面をつけた犠牲
24 献身
25 信じたままが現実になる
26 ストーリーを捨てる
27 親密さ
28 喜びを味わう
29 誘惑(代用品という罠)
30 パートナーシップ