24 献身は自由への入り口
母親に甘えようとして拒否された経験があるとします。
拒否されたのには自分に非があると罪の意識が芽生えます。
その罪悪感は、あなたの成長の過程で何度もなんども別の人間関係(友達、恋人、先生)において浮上してきます。
「デートに誘って断られた」「ラインを既読スルーされた」「提案を断られた」ことを深く悲嘆し、自分を責め、孤立感を増すかもしれません。
これらは、母親に甘えようとして拒否されたことへの恨みと罪悪感が、あなたの中で繰り返されているにすぎません。
私たちは過去の恨みを晴らし罪悪感を解消しようとして、現在の人間関係を複雑でネガティブなものにしています。
それは環境との関係も同じです。
最初はドキドキワクワクしながら入社した会社も、徐々に新鮮さが失われ、段々と不快な状況になっていくこともあるでしょう。でもそれは会社のせいではありません。
自分の罪悪感のために相手(環境)を罰しているにすぎません。
私は以前の会社で、手を上げて異動した経験があります。一部の上司には反対されながらも叱咤激励され多くの人の期待を背負って女性には過酷な部署に挑んだのです。確かにその時は大きな野望もありました。でも実は「今の部署がつまらいから刺激が欲しい」という裏の思いがあり、さらに自ら手を上げたからには結果を出さなくては、というリキみもありました。
ところが、異動先の部署ではなかなか思うように結果を出すことができませんでした。
結果も出せず焦りばかりが付いて回りました。
もし、これが自分から手を上げたのではなく、無理矢理異動させられたのであれば、どうだったでしょう。
おそらくリキむこともなく、結果などこだわらなかったのではないかと思うのです。
明らかに異動先では私の罪悪感が付いて回りました。誰に責められるわけでもないのにみんなの目が「この程度か」と言っているように感じられて仕方なかったのです。ついには自信を失い、どんな仕事もつまらなく思えるようになり、それを人のせいにするようになりました。そして「ああ転部願いを出さなければよかった」と。そしてそれを認めるのは本当に苦しい葛藤でした。
ついに私は精神を壊し体を壊してしまいました。
もともと上司に「今の仕事のままでは物足りなくなってきた、もっと刺激が欲しいという思いがある」と相談していたら、別の切り口があったかもしれません。人事に泣き言を言って相談した方が良かったのかもしれません。
でも、私は自分の罪悪感と恥ずかしさからそれができませんでした。意地とプライドもあったのでしょう(この場合の意地やプライドは罪悪感の裏返しです)。
もし私が、会社に対して献身的に関わろうと思っていれば、私は自分も周囲もごまかさずに、どうすればベストの状態で会社に貢献できるかということに向き合い、しかるべき人に相談し、会社で新たなステージが築けたのだと思います。
誰か(何か)との関係の中で、倦怠感を覚えたり、敵対心が芽生えたり、無感覚になったりした時こそ、どうか前向きに相手と真剣に関わろうと決意してください。これは夫婦間にも言えることです。相手に献身の心で向き合えば関係性は飛躍的に良い方向へ向かいます。
献身とは優先すること。献身を決めると自分の欲求や葛藤よりパートナー(相手)の方が大切になるので、どんな問題もいとも簡単に解決できるのです。
どうぞ犠牲と献身を間違わないようにしてください。相手(人や物事)との関係の中で、自分を犠牲にするのではなく(犠牲にすれば恨みが増すだけです)、献身をしてください。
献身とは、自分の価値を最大限に活かして相手に尽くすこと。
自分を殺して相手に尽くすのが犠牲です。
<項目>
1 心の秘密
2 あなたの価値
3 人生の目的
4 あなたが手にしているもの
5 前進
6 扉を開く
7 許す
8 感情を感じる
9 真実が自由をくれる
10 過去を手放す
11 受け入れる
12 ネガティブ感情は全て幻想
13 空想の人生を生きていませんか?
14 「傷つく」とはどういうことか
15 信頼
16 人生を実現する
17 心の姿勢が方向を決める
18 家族の解放
19 役割と義務感
20 家庭内の役割
21 コミットメント
22 権力争いを癒す
23 愛の仮面をつけた犠牲
24 献身
25 信じたままが現実になる
26 ストーリーを捨てる
27 親密さ
28 喜びを味わう
29 誘惑(代用品という罠)
30 パートナーシップ